月3月15日読了時間: 1分「月が綺麗ですね」と僕は月を見上げて云う。その日は大きな満月で本当に綺麗だったのだ。そう云ってから暫く、僕は隣を歩く人が黙っていることに、はっとした。明治大正時代の文豪の言葉を知っているのであろうか。そう考えていると隣の人は明日のことを話し出した。真意のほどは定かでない。しかし、漱石のせいで意中にない人に突き放された気持ちであった。
ずっと。涙で前が見えない。 涙なんか出ないくせに。 心では止め処ない涙が流れているのに なぜか飄々と歩いている。 平気なフリして歩いて、過ごしている。 ずっと、ずっと、そうやって生きている。 いつまでも。いつまでも。ふわふわと。
薄氷カーテンの隙間から差し込む薄明かり。 夜が明けるのが早くなった春。 心の薄氷にそっと指をつけて 罅 を作る。 イノセンスを纏った君はまだ寝ているのだろうなと想う。 早朝はいつもそう想う。 そう想っているといつも懲りずに薄氷を指で強く押してしまう。 そこにあいてしまった穴を見て、僕は何をしているのだろうと、はっとする。 しかし深夜から明朝にかけてまた穴は埋まっていく。 氷解せずにまた薄く凍り埋まって