薄氷3月29日読了時間: 1分更新日:9月4日カーテンの隙間から差し込む薄明かり。夜が明けるのが早くなった春。心の薄氷にそっと指をつけて罅を作る。罅を作るだけのはずが、いつも懲りずに強く押してしまう。そこにあいてしまった穴を見て、僕は何をしているのだろうと、はっとする。しかし深夜から明朝にかけてまた穴は埋まっていく。氷解せずにまた薄く凍り埋まっていくのだ。そして翌朝、僕はまた懲りずに指で穴を開けてしまう。
夜の海岸線星を探しに海岸に来ると ポツンと手持ち花火をしている人がいた。 じっとりとした風が僕と君のあいだを擦り抜ける。 防波堤に擦り寄る波の音。 ときおり通り過ぎる微かな車の音。 星は見えなかった。 目の前の島が煙を吹くばかりだった。 小さな静寂。輝くコンビニ。 君と手を携え車に乗り込むと 右に赤銅色の大きな月を見た。 走る車の中、 僕たちは明日の別れを口にしないように ヨーグルト味の四角いパックを飲み交
ずっと。涙で前が見えない。 涙なんか出ないくせに。 心では止め処ない涙が流れているのに なぜか飄々と歩いている。 平気なフリして歩いて、過ごしている。 ずっと、ずっと、そうやって生きている。 いつまでも。いつまでも。ふわふわと。
月「月が綺麗ですね」と僕は月を見上げて云う。 その日は大きな満月で本当に綺麗だったのだ。 そう云ってから暫く、僕は隣を歩く人が黙っていることに、はっとした。 明治大正時代の文豪の言葉を知っているのであろうか。 そう考えていると隣の人は明日のことを話し出した。 真意のほどは定かでない。 しかし、漱石のせいで意中にない人に突き放された気持ちであった。