わざわざ お気に入りの槇塚鉄工所の鉄薬缶を持ってわざわざ野良へゆく。レンメルコーヒーを作る為だけにわざわざ焚火道具や珈琲豆を持って。家のガスコンロで火にかければ15分でできる物をわざわざ何時間もかけて野良へゆくのだ。有意義な命の浪費のために。
月「月が綺麗ですね」と僕は月を見上げて云う。その日は大きな満月で本当に綺麗だったのだ。そう云ってから暫く、僕は隣を歩く人が黙っていることに、はっとした。明治大正時代の文豪の言葉を知っているのであろうか。そう考えていると隣の人は明日のことを話し出した。真意のほどは定かでない。しかし、漱石のせいで意中にない人に突き放された気持ちであった。