月「月が綺麗ですね」と僕は月を見上げて云う。その日は大きな満月で本当に綺麗だったのだ。そう云ってから暫く、僕は隣を歩く人が黙っていることに、はっとした。明治大正時代の文豪の言葉を知っているのであろうか。そう考えていると隣の人は明日のことを話し出した。真意のほどは定かでない。しかし、漱石のせいで意中にない人に突き放された気持ちであった。