ずっと。涙で前が見えない。涙なんか出ないくせに。心では止め処ない涙が流れているのになぜか飄々と歩いている。平気なフリして歩いて、過ごしている。ずっと、ずっと、そうやって生きている。いつまでも。いつまでも。ふわふわと。
薄氷更新日:3月29日カーテンの隙間から差し込む薄明かり。夜が明けるのが早くなった春。心の薄氷にそっと指をつけて罅を作る。イノセンスを纏った君はまだ寝ているのだろうなと想う。早朝はいつもそう想う。そう想っているといつも懲りずに薄氷を指で強く押してしまう。そこにあいてしまった穴を見て、僕は何をしているのだろうと、はっとする。しかし深夜から明朝にかけてまた穴は埋まっていく。氷解せずにまた薄く凍り埋まっていくのだ。そして翌朝、僕はまた懲りずに指で穴を開けてしまう。
ぶらじる神保町に神田伯剌西爾という喫茶店がある。地下2階にある古いお店だ。神保町に行くと必ず入るお店。なんか気取ってなくて、煙草臭くて、良い。入り浸って大人の良からぬ話をするのに持ってこいの場所だ。悪い大人の溜まり場にありがちな副流煙の渦。寂しさを鎮めてくれる湿度と友の声。この喫茶店で語り合った言葉は記録でも記憶でもなく想い出になる。